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第8回 ステイホームに彩りを与える夏の植物/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

太陽が沈まない白夜、精霊たちをまつる夏至祭。フィンランドの美しい夏の写真をお届けします。ほんの少しですが、旅へ出たような気分を味わってください。

気持ちを和らげる植物の力

今、世界中が新型コロナウイルスの影響を受けています。フィンランドも非常事態宣言が早くから出され、ヘルシンキに隣接している市を含め都市がロックダウンされました。すべての会社、レストランが休業。そんな中でも、スーパーの花屋の店頭には、いつもと変わらず季節の花が並んでいます。人々は食品とともに花を購入し自宅で飾ります。森に囲まれているフィンランドでは、植物が心を癒してくれることをだれもが知っているからです。一方、日本では、卒業式、入学式、結婚式などのお祝いごとが次々と中止・延期となり、花に関わる人々が大変困っている状況にあります。長引くおうち時間に疲れてしまったら、花を買って、活けて、愛でることで、心がほっと落ち着くこともあるかもしれません。
第8回 ステイホームに彩りを与える夏の植物/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
6月の森では、苔に覆われた地で紫やピンクのルピナスや白い小花をつけるシャクがぐんぐんと背を伸ばしています。生命力が感じられますね。

家族と過ごすからユハンウスは楽しい

毎年6月にはサマーホリデーに入るフィンランドですが、今年は早くから長い休みに入っています。6月と言えば、ユハンウス(Juhannus)=夏至祭。法律で「6月20日~26日の土曜日を夏至祭とする」と決められているので、週末はヘルシンキの多くの店が短縮営業や休業に。多くの人は地方にある湖畔のサマーコテージで夏至祭を祝うのです。北部のラップランドあたりでは一日中太陽が沈まず、南部のヘルシンキでも夜中まで明るく、数時間うす暗くなったなと思ったらすぐに日が昇ります。「白夜」と呼ばれる夜のない夜。子どもたちは夜遅くまで外で遊び、小鳥は一日中さえずっている。家族とゆっくり過ごすにはぴったりの季節です。
第8回 ステイホームに彩りを与える夏の植物/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
フィンランド人にとって白夜は楽しい季節。サウナに入り、湖で泳ぎ、湖畔で日光浴。訪れるのには一番いい時期です。いつか楽しい旅行ができる日を夢見て。

精霊を呼ぶKokkoってなに?

私が初めて迎えた夏至祭。小雨が降っており、気温は15度と肌寒く、ジャケットをはおって湖畔へ。そこにはキャンプファイヤ―のように木の枝が高く組まれていたのでした。火がつけられると、美しいオレンジの炎が上がり、勢いよく枝が燃え始めました。いよいよ何かが始まるのだなと期待にあふれ、待っていること数十分。みんな静かに焚火をながめています。どれくらい時間が経ったでしょうか。次第に火が消えていき、そしてみんな静かに帰っていきました。まさかこれで終わりなのか。そう、終わりだったのです(笑)。聞けば、このコッコ(Kokko)と呼ばれる焚き火には「悪霊や悪運を駆除し、好運と、夏の終わりの豊作をもたらす」という意味があるそう。静かに夏の到来を喜ぶ。それがフィンランド流の夏至祭の楽しみ方だったのです。焚火はかがり火ともいわれ、精霊たちを迎えるもの。自然を愛する国民ならではのお祭りだったのですね。
第8回 ステイホームに彩りを与える夏の植物/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
薄暗くなるころ、家族や友人と一緒に組み上げた土台に点火。焚火の周りで踊ったり歌ったりすることもありますが、眺めているだけでとても神聖な気持ちになります。

フィアンセがわかる!?夏至の夜の夢

昔から、夏至の夜は神秘的、かつ超自然的なものと結びついていると言われています。古くから数々の言い伝えがあり、未婚の女性が森で7種類、または9種類の花を摘んで、夏至の夜に枕の下に置いて眠ると、将来の結婚相手が夢に出てくるという話は有名です。そのような言い伝えに沿って、シラカバやポプラの木、ライラックにルピナスにスズラン、そしてユハンヌスルースという白いバラがたくさん飾られるのです。家族や友人と飲んで食べて踊って自然の中で過ごす夏至はフィンランドならでは。早くいつものフィンランドが、そして世界中が日常を取り戻すことを祈るばかりです。
第8回 ステイホームに彩りを与える夏の植物/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
「夏至のバラ」という意味のユハンヌスルース。香り立つ真っ白なスプレーバラから、フィンランドの初夏を思い浮かべてください。
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナーのヘンティネン・クミさんに、自然をこよなく愛するフィンランドの人々の生活を教えてもらいます。
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」を拠点に北欧フラワーデザインの普及に尽力している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
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